第11章 裏/時が経っても
ようやく捕まえることができたあやは、また一段と綺麗になっていた。
「あの、紅郎くん、本当にいいの?」
「あぁ、今日は誰もいねぇからゆっくりしてくれ」
妹もお泊まり、父も夜勤でいない日にあやを家に誘った。家にはガキの頃に何度も遊びに来ているはずなのに、あやは緊張しっぱなしだった。
「……」
「あの、紅郎くん」
「ん?」
「えっと、くっついてもいい?」
「お、おう」
部屋で隣に座っていたあやが恐る恐る距離を詰めてきて腕に抱きつくようにくっついてきた。腕にはでかくなった胸が当たっていて、弾力があって柔らかい。いつの間にこんなにでかくなったんだか…ダメだ、エロいことばっか頭に過ぎる。でも、せっかくくっついてくれているのを離すのも勿体無い。あー…でも、どうせなら…
「あや」
「なに? え?」
思ったら早かった。空いてる腕を回して正面から抱きしめた。その拍子に2人してベッドに倒れ込んでしまった。かろうじてあやは俺の上に乗せるようにしたが、それでも、腕の中にあやを閉じ込めたかった。もう離したくない。
「紅郎くん?」
「少しこうさせてくれ」
「うん…」
強く抱きしめたら潰してしまいそうなくらい華奢で細い身体は柔らかくて暖かった。それにほのかにいい香りがする。香水とかは使ってないはずだろうからシャンプーか。髪も昔は邪魔だからとか言ってショートだったのに、こんなに伸ばすのは苦労しただろうな…でも、手入れをちゃんとしてるのか髪はサラサラで傷んでなくて、手触りが良い。
「楽しい?」
「そうだな、久々に触ってると色々発見があって楽しいな」
「そんなに発見あった?」
「髪が長くなったとか上目遣いが可愛いとかな」
俺の顔を見上げながら聞くあやの上目遣いは相変わらず無垢で安心したし、可愛い。
眼鏡も似合ってるけど……
「そういや、視力落ちてんのか? 眼鏡かけてるけど」
「少しだけね。外しても大体は見えるよ。小さいものは見にくいけど」
「取ってもいいか?」
「いいよ?」
眼鏡を外してやれば、見慣れたあやの素顔は相変わらず綺麗だ。髪が伸びたせいかなんか色気が倍増している気がする。一応眼鏡はベッドの枕元に置いといた。