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短編集/鬼の木漏れ日

第5章 ひとそれぞれ


「というお話でお昼休みは盛り上がっていましたね」
「…くだらんな」
「そんなこと言って、敬人も菜子も人のこと言えないだろう」

 放課後、生徒会の業務でアイドル科の校舎にある生徒会室に行ってお茶休憩の際にお昼休みのことをお話するとあっさりと両断されました。

「そうは言うが、他人の恋路にいちいち突っ込むのはどうかと思うぞ」
「僕から見ても2人とも働きすぎだと思うよ?」
「買出しや監査は行ってますよ?」
「それは仕事だろ?」
「ですが、私はこうしてお仕事で一緒出来るのは嬉しいです」
「……」
「ほんと、敬人にもったいないよね」

 実は私、これでもこの夢ノ咲学院生徒会の副会長である蓮巳敬人さんと交際させてもらってます。交際自体は中学からで、これまでも色々ありましたがなんとか今も交際は続いております。
 なんだかんだと敬人さんも仕事の合間を見ては声をかけてくださったり、休みの日も私が声をかける時もありますが、敬人さんからもお出かけのお誘いを受ける時があります。

「お出かけもありますよ?」
「最近はないんじゃないかい? 結構イベントが立て続けだったからね」
「まあな…おかげで2人して休みの日も登校してるわけだしな…」

 たしかに今年はプロデュース科の試験運用も兼ねてあんずちゃんの転入、それに伴うように今年はイベントの企画がたくさんあって処理がなかなか追いつかないのです。

「そういえば、さっきの菜子の友達の彼氏くんもなかなかだよね?」
「え、いきなりどうされたんですか?」
「だって、妹さん同伴のお出かけほとんどとお家デートでしょ? その子ももう少し2人の時間が欲しいんじゃないかなって」

 たしかに、あやの場合私と違って日のほとんどを一緒にいるための大義名分がない状態です。お相手も他学科の方とお聞きしてますし、時間割がなかなか合わないのかもしれません。下校を合わせるとあやの帰りが遅くなるのも目に見えていて危ないですし…
 やはり無難は彼氏さんのお休みを確保する他ないのでしょうか?
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