第5章 愛されて頂けますか
「お嬢様」
「……………」
「お嬢様」
「………」
「お嬢様、スープ冷めてしまわれますわ」
「え、あ、ごめんなさい」
「和泉さまがいらっしゃなくて、お寂しゅうございますか」
「え?いや、ハイセが?全然!むしろせいせいするわ!」
「ですが、お嬢様」
「だから、全然!」
ハイセがいなくなって。
1ヶ月。
あの日、再度目覚めたあたしの前に、ハイセは1日中姿を見せることはなくて。
それからずっと。
あたしに姿を見せたことはない。
「お嬢様、最近、お肌の調子がよろしくありませんわね」
「え、そう?じゃぁエステの予約……でも」
『お嬢様のエステ代が年間おいくらか、ご存知でしたか?』
「お嬢様?」
『新入社員の初年度の給料と………』
「いいえ、自分でするわ。悪いけど、自分でも出来るケアを教えてくれるかしら」
「え?」
「せっかく買ったんだもの、使わなきゃもったいないでしょ」