第3章 僕とデートして下さい
「お嬢様」
耳元で低く囁くように語りかけられれば。
勝手にビクン、と反応する身体。
胸元にまわってきた掌の感触に思わず目を閉じた。
「…………」
だけど。
いっこうに唇にも肌にもハイセの唇の温度を感じることがなくて。
そーっと両目を上目遣い気味に開き見上げれば。
あたしの視線に気付いたハイセは、にっこりと、笑った。
「買い物の続き、致しましょうか」
「は、え?つ、続き?」
思わず裏返る、声。
胸元に視線を下げてみると、先ほどほどかれたはずのリボンはキレイに結び直されていて。
何にもなかったかのように、いつもと何ら変わらないハイセ。
「ええ、次は何をご所望でしたか?」
「…………」
わざとらしくにこやかに笑うハイセを下から精一杯睨み付ける。
「お嬢様、そのかわいらしいお顔は、しばらく封印下さいませ」
「は?」
「欲しくてたまらない、と言った表情です」
「…………っ」
「ほんとに、かわいらしいお嬢様ですね、あなたは」
ちゅ、と大袈裟にリップ音を響かせて。
最後にハイセはあたしに口付けた。
「ハイセっ」