第6章 お勉強の、お時間です
――――――ガチャリ
深夜、11時をまわる、少し前。
使用人のみんなが帰宅した夜中。
週末である土曜日の、この時間。
ノックもなしにこの部屋へと入ってくる人物なんて、ひとりしかいない。
「皇」
真っ暗な闇の中。
広々としたベッドの中で目を閉じたまま、感じるのはハイセの匂い。
コツコツ、と、革靴を鳴らしてその音が近づいてくる。
ギシ、って音を響かせて、ベッドがきしんだ。
「……………っ」
すぐに押し当てられた唇は、強引にそれを割って入り込み、歯列をなぞりながら上顎を蹂躙し、しまいには舌までも吸い上げる。
「………っ、ハイセっ、なんで?なんでわかったの?」
唇を拭いながら飛び起きれば。
意地悪な瞳を細めて、彼は笑みを広げるのだ。
「寝たフリなんて通用すると思ってんの?」
ペロン、て。
濡れた自分の唇を舐めながら笑む姿が暗闇の中妖艶にうつしだされる。
見惚れるように固まるあたしの頭を、その大きな掌で撫でながら。
彼は楽しそうに。
さらに目を細めて告げるのだ。