第6章 お勉強の、お時間です
「和泉様、ご連絡ありがとうございます」
「こちらこそ急なのに、用意してもらえて助かったよ」
「いえ、滅相もございません」
車を走らせること、十数分。
ついたのはここらじゃけっこう名の知れた――――――---いえ、世界的にも有名な、ラグジュアリーなホテル。
の。
裏口駐車場。
キョトン、としているあたしに気付いた年配の、支配人だろうか、彼はハイセの後ろへと視線を向け、やっぱり丁寧に頭を下げた。
「西園寺様、このようなところから申し訳ありません」
「え?あたし?」
なんで、名前。
「和泉さまはいつも目立ちすぎてしまいますので、このような場所から誠に失礼致します」
「…………」
目立つ。
否定は、しないわ。
「こちらのエレベーターから、最上階へ行けますので。どうぞ、ごゆっくりお過ごしくださいませ」
「内密で」
笑顔で人差し指を立てるハイセに対し、彼は至極当然のように、再度頭を下げた。
「承知しております」
裏口駐車場からエレベーターを上がれば。
他の階に停まることなく、最上階へと着いた。
ドアが開くと同時に広がるのは。
すでにもう、部屋のなかだった。
まるで海外セレブの豪邸のような、一室。
最上階全てが、部屋となっているんだ。
まるでペントハウスみたい。