第5章 愛されて頂けますか
ピーっ、ピ、ピーっ
と。
ふいに、車のクラクション。
サイドミラーへと咄嗟に視線を向ければ。
後ろの車のハイビームで目が眩む。
「………」
無言で、車を走らせるハイセに。
何故だか何にも言葉が出てこない。
代わりに響くのは、うるさすぎる心臓の音だけで。
ハイセにも聞こえてしまうような気がして。
左手で頬杖を付きながら、視線をネオンが光る窓の外へとうつした。
「!!」
車を走らせながらも、投げ出された右手に重なったのはあったかいハイセの掌、で。
一瞬だけビクンと反応したあたしの態度は絶対気付かれちゃってるんだけど。
何も言わないハイセに。
自分でもよくわからないのだけれど。
たぶんほんと、一種の気の迷いってやつなんだろーけど。
あたしは自分の掌を、ハイセのそれに。
絡めたんだ。
「…………」
「………」
息を飲んだハイセの気配だけが伝わってきたけど。
恥ずかしさでいっぱいで。
とてもハイセを見る余裕なんて、………ない。