第10章 番外編 美しい風
レストランを出た。
ここで、ユカと別れるのが嫌だった。
『王都の公園は、高台で見晴らしがいいんだ。
良ければ、どうかな?』
『はい。是非。』
公園は、街が見渡せて、圧巻だ。
それに、風の通り道になっていて、気持ちがよい。
見上げれば、空は、無数の星が輝いている。
『きれい…』
ユカは呟いた。
その姿を見て、また見惚れてしまう。
『南の風が気持ちいいですね。
それに、草木のことを考えて植えてあって、、』
『具体的に言うと?』
『そうですねー。例えば、あの草は、
あったかいところに植えると、芽が育ちやすい。
だから、一番南の風があたるところに植えてあります。
他には、あの青の花ですね。
太陽の光が苦手な花なので、北側に少しずらして植えてあります。
でも、風が少しあたるところにないと、
ダメになりやすい。
なので、北西よりになっています。』
『なるほど。全く無知だから、勉強になるよ。
なにか上手くすれば、壁外でも、役に立ちそうだな。』
『こんな浅はかな知識が役に立てば、光栄です。』
ユカは、今までになく、楽しそうに話す。