第9章 守護
それから、ユカは、医務室で実践的に学ぶ日々が始まった。
時間も迫っている。
深夜遅くまで、灯りがついていることが多かった。
頑張っていることは、誰もが知っていた。
訓練が終わり、部屋に戻ろうとしたとき、
外の路地で、
ユカとエルヴィンの姿を見た。
『ここでの生活は、不便はないか。』
『はい。大丈夫です。』
『無理させてすまない。
信じてもらえないだろうが、
君のことは、誰よりも応援している。』
『大丈夫ですよ。エルヴィン団長のこと、
嫌いになったりしてません。
むしろ、チャンスを与えて下さって感謝しています。』
『そうか。
じゃ、君に好きになって貰えるように、尽くさせて貰うよ。』
『いえいえ、そんな気にされなくても。』
『至って本気だ。
君を想っているし、想ってもらいたい。』
エルヴィンは、真剣な顔だ。
ユカは、少し驚いた様子だった。
見てはならないと、思っていても、
気になって動けない自分がいる。
『私は、誰かを想えたことも、想われたことも、ないです。
そんな資格ないですから。』
『頑なだな。
君のそういう芯の強さも魅力的なんだ。』
エルヴィンは、本気で口説いている。
『君に、誰かに想われる資格も、
想う資格も、与えてあげたい。』
ユカのことを、抱きしめていた。