第5章 秘密
愛おしい姿が、見えるようになり、
ひと月くらいたった。
もうすぐ、エレンを連れた壁外調査が行われる。
兵団内は、若干ピリついた雰囲気もあるが、
ユカの紅茶のおかげで、落ち着いた雰囲気の方が強い。
今週の木曜日も、穏やかな気持ちになる。
相変わらず、会話は少ないが、
ユカのことを愛おしいと思う気持ちは、
ますます強まっていた。
だが、エルヴィンもユカに惚れているのは、
分かりきっていたことだし、
この死と隣り合わせの状況で、
愛する人を手にしたいと思うことは、
違うような気がした。
ユカは、エルヴィンのことをどう思っているのか。
内面の感情が分かりにくい、
謎を秘めているユカは、
余計に魅力的に感じる。