第19章 溝
『わかった。
リヴァイ、貴方の話を信じるわ。』
『すまなかった。
俺は、お前しか眼中にない。
今までも、この先もずっとだ。
アンにも、直接話をする。』
『ええ、そうして。』
『これから、兵舎に戻る。
アンのところに行ってくる。
ユカは、部屋で待っててほしい。』
アンの部屋に来た。
相部屋の奴は、丁度外泊しているらしい。
トントン
『俺だ。少し話がしたい、開けていいか。』
ドアの向こうから小さい声が聞こえた。
『どうぞ。』
ドアを開けると、ベッドに腰掛けているアンがいた。
『脚はどうだ。』
『さっきまで冷やしてたので、だいぶ良くなりました。』
『そうか。』
話出そうとした時、アンから言葉があった。
『兵長、昼間一緒に居た方って、
さっきお店に居たお医者さんですよね?』
『そうだ。』
『兵長の、大切な方ですか?
私じゃ、ダメですか?
私、兵長の事が、ずっと好きだったんです。』
『すまない。
期待させるような行動をとっていたことには、謝る。
でも、あいつは、俺の全てなんだ。
アン、お前じゃない。』
『あの方の事、愛しているんですか?』
『そうだ。愛してる。』
『分かりました!!!!
兵長の言葉が聞けて良かったです!!!』
『そうか、良かった。』
『はい!!!!
じゃ、私そろそろ寝るので!!!!』
『わかった。』
分かり易い奴だから、空元気なのも見て分かる。
でも、ここで優しくはできない。
俺は、アンの部屋から出た。
もう隙は作らない。
俺は、ユカだけだ。