第17章 恋人
ユカが、医者の試験に合格し、
表彰をすることになった。
『本当に良く頑張ったな。おめでとう。』
エルヴィンが資格証を渡す。
『ありがとうございます。』
ユカは、爽やかな笑顔だ。
『戸籍の方は、今手続きをしている。
ちょっと時間がかかってしまうんだ。
もうしばらく、待ってほしい。』
ユカは、正式な戸籍を受けることになる。
今までの人生、戸籍のことで、
相当な苦労してたんだ。
これからは、自由に好きなことをしてほしい。
『ユカちゃん!!!
いや、先生!!!これからも宜しく!!!
本当におめでとう!!!!』
いつも大袈裟でうるさいハンジだが、
今日は盛大に盛り上がって、構わない。
ドクターが言うには、
薬草学を専攻する医師は少ないから、
国としても、ユカの存在は貴重だそうだ。
これからは、兵団に留まらず、
街の病院などに、研修医としてまわり、
技術と知識を高める必要があると。
ユカは、表彰の後俺の部屋に来た。
『いよいよだな。』
俺の声に反応する、
窓から入る風にあたりながら、
晴れやかな笑顔。
いつもより美人だ。
それに、太陽の光が当たって、輝いて見える。
『ええ。やっと。始まる。
1つずつ頑張らなきゃ。』
意気込む姿は活き活きとして良い。
こんな姿を見るのは、初めてだった。
思わず、ユカを抱きしめる。
『俺たちの関係も始まるからな。』
ユカは、微笑んで俺を見上げる。
クリッとした緑色の目は、本当に愛らしい。
恋人として初めて、甘い口付けをした。