第12章 心
ユカの姿を見るだけでは、物足りなくなった。
あいつの人生がかかっている。
頭では理解しているつもりだった。
訓練で怪我をした部下に、
ついていく口実で医務室へ行く。
『兵長は、訓練へ戻って大丈夫ですよ。
あとは、こちらで対応しますので。』
ユカに丁重に断られる。
『いや、処置が終わるまではいよう。』
部下は気まずそうだったが、
お構いなし。
また、自分がちょっと擦りむいただけで医務室へ行く。
『兵長?!、塗り薬渡してませんでしたっけ?』
何故ここに来るみたいな言い方をしてくる。
『ユカに診てもらい。』
融通が効かなくなっている。
自分の変化にも気付いていた。