第1章 噂
カップにティーパックを入れて、お湯に注ぐ。
すると、
部屋中に、優しい香りが立ち込める。
脳みそに詰まっている、
凝り固まった、クソみたいな、
しょーもない、事柄が一気に吹っ飛ぶような、
そんな優しい香りだ。
味も苦すぎないし、かといって、
砂糖やミルクを入れたいとも思わない。
会議の時は、あの人数分を、
給湯室で入れてから運ぶのに、
若干時間がたった紅茶だったのか、
こんなに良い香りと味はしなかったから、
気付かなかった。
一気に、疲れが引くのがわかった。
『悪くない。』
思わず、呟いた。