第6章 沈黙
一寸遡って、白のヨーロッパ研修
「……」
ああ、好きだなぁ。
ふとした瞬間に彼の顔が思い出されて、胸がきゅぅっと痛くなる。
『シロー?逆上せない?』
『大丈夫!気にしないで!』
…好きな人いる?
いるよ。何も云わないに等しい状態で置いてきた。
少しでも余裕があると思い出してしまう。
『白』
『ラズベリーのケーキ作ってみたけど食うか?』
『お疲れ、…今日は甘えただな』
「ちゅう、や…」
会いたいよ。寂しい、辛いよ。ぎゅって抱き締めてほしい。
何時もみたいに頭を撫でてほしい。
『シロ!?』
『あ、……ごめん!今出る!』
『シロー』
『あ、先生』
『一回位帰国したら如何?』
『……嫌』
『頑なね』
『……会ったら絶対離れられなくなる』
『あら、彼氏?』
『好きな人』
『でも森さんも心配してたわよ』
『彼に会わなければいいかな』
『大切なのね』
『何も云わないに等しい状態で置いてきましたからね。会ったら質問攻めですよ』
『ふぅーん』
ガタッ!
「え、白ちゃん、如何して帰国…中也に会ったの?」
「…会わない」
「…白
「絶対」
「何で?」
「会ったら、向こうに帰れなくなる」
「そんなに好きなの?」
「好きだよ。誰よりも好きなの」
「森さんよりも?」
「忠誠と恋情は違う」
「……」
「有難う、ね」
「あぁ…云い忘れてたんだけど僕組織追い出されるかも」
「え?」
「秘密ね」
「判った」
「好きだよ。僕のカミサマ」
「っ!」
「応援する」
「莫迦太宰っ!」
「痛っ!」
『研修お疲れ、シロ』
『有難うございました』
『また、おいでね?新婚旅行にでも』
『ふふ、考えときます』
さぁ、君は如何な反応をするかな。
怒る?無視?泣く?……は、有り得ないか。
「You are special to me. I liked you the whole times.」
訳 ; 貴方は私の特別。ずっと前から貴方が好きです。