第4章 衝撃の6月
side 白
6月21日
久し振りに彼を見かけた。
現地時間の昨日、久し振りに祖国に帰った私はお願いをした後直ぐには帰らず、想い人…中原中也を見に行った。
久し振りに見た彼は少し痩せていて、でも変わらずカッコよくて。
声を掛けたかった。抱き着きたかった。キスしたかった。名前を呼ばれたかった。その目に私を映して欲しかった。
でも、置いて来たのは私だから。だから、見るだけにした。
研修の地にある私のセーフ・ハウスは閑散としている。此処はほぼ眠る為に来る場所だから。
でも、3日間だけ休み。久し振りの休み。
だから、蓮ちゃんと太宰に会いに行った。
2人共元気そうでよかった。
2人は無闇に詮索しない。
2人の優しさに甘えているのは判っている。
…ごめんね、皆。
この研修だって半分我儘だ。
♪
携帯が珍しく鳴る。
『Happy birthday』
そっか、設定してたっけ。
今日は6月21日。私の17歳の誕生日。
後何回1人で誕生日を過ごしたら君は誕生日を祝ってくれる?
もしかしたらそんな日は二度と来ないのかな?
「…中也、会いたい」
中也が16歳の誕生日にくれたティーカップ。
『特別なカップで飲む紅茶は美味いだろ?それ、誕生日プレゼントな。次祝う時は…何が欲しい?』
傍に居てくれればいい。って云ったのにティーカップをくれた。
あの時の中也は、とても優しく微笑んでくれていた。
次はどうする?
“もう、次はないのに”
実はあの時もう既に研修は決まっていた。だから、
『中也が傍に居てくれるならそれでいいよ』
叶えられる筈のないお願いをした。
『手前それしか云わねぇな』
と云ったけど、中也の誕生日に云ったのと私の誕生日に云ったのは意味が大きく違う。
だって、次って云っていた誕生日は結局祝えなかったんだから。
自分で決めたのに、心が揺らぐ。
会いたい。好きだよ。
…誕生日は苦手だ。大好きな中也の事が浮かぶから…
6.21 Shiro.H Happy birthday......