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a fragrant olive【ONE PIECE】

第10章  Purple anemone


翌日。

彼とロー君の旅立ちの日が来た。
私達は島の人総出で出迎えに出ていた。

「なんかすごい見送りだな…」
「みんな二人共大好きなの」
私はそう言うとロー君がいるだろう彼の隣を向いてしゃがむ。

「リオ、俺は反対側だ」
「あら、失礼しました」
どうやら反対を見ていたみたい。
向きを変えてロー君の手を探す。
ロー君は私が手を探す前に意図が分かったのか私の手を握ってくれる。
「元気でね。あと…よろしくね」
「……あぁ、任せてくれ」
彼の力強い返答に安心すると立ち上がる。


「リオ」


頭上で彼に名前を呼ばれたのでなんだろうと上を向くと彼に顎を持たれ、キスをされた。

「いってくる。待っててくれ」
「……いってらっしゃい」
彼は私の言葉を聞くと、行くぞローと声をかける。
二人の気配が遠ざかっていく。
「……世話になった!」
彼は島民に聞こえるようにそう言うと船を出航させた。
みんなが元気でなと船に向かって叫んでいた。



「……お熱いとこ見せられたなぁ」
「あまりツッコまないでください」
突然でこっちが驚いたくらいだ。

彼の船が見えなくなったのだろう。
島民が散り散りになっていくのがわかった。
「……私も先に戻るよ。気を付けて帰っておいで」
「はい」
レイモンドさんもそう言うと歩いて行った。
私は胸元に光るクローバーのネックレスに触れる。

「……待ってるよ。あの返事、必ずさせてね」





あの日、彼に耳元で囁かれた質問。






“お前の残り人生、全部俺にくれ”





「……いってらっしゃい」
私は再びそう言うと踵を返して家に帰った。
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