a fragrant olive【ONE PIECE】
第6章 彼女の真実
「そうかそうか」
男はニコリと笑うと花畑に咲く花達を見る。
「こいつは医療にも利用できそうだ」
男が花に手を伸ばそうとした時
「だ、ダメ!」
私はとっさに男の腕をつかんだ。
「この島のお花は抜いちゃダメってお父さん言ってたの!」
「……そうかそうか。お父さんに言われてるのか。じゃあだめだね」
子供の私にそう言われて無理に抜くわけにもいかなかったのだろう。男は立ち上がり一緒に来ていた者たちの元に行く。
「…お嬢ちゃんの名前を教えてくれるかい?」
「……フィオーレ・リオ」
「そうかそうか。お嬢ちゃんのお父さんはなにをしている人だい?」
「お父さんはお花の学者さんだよ!お母さんも!」
「そうかそうか。じゃあ邪魔したよ」
男はそう言うと他の人も連れて花畑から立ち去った。
リリック島の言い伝え。
芽が出て、つぼみをつけて、花が咲き、枯れて土に還る
だから島の花がどんなに綺麗でも抜いてはいけない。
今思えば花畑に横になっていた私が言い伝えを守れていたかは分からない。
でも両親から言われていた“花は抜くな”という言葉だけは守っていた。