第10章 DISTANCE

｢何でもないならいつも通りにしろ。なぜこんな茶番を演じたんだ？｣


茶番…。

そっか。

私にとってはこんなになるほど頭を悩ませる出来事が起きているのに…。

あなたには私のことなんて茶番でしかないのね。


｢私はあなたのこと、愛してるのに…｣


私はただのお遊びってこと。

あなたにとってはお遊戯でしかない。

私だけが本気だったって…それだけのこと。

あなたには最初からインテグラ様がいて、私はあなたの闘争の合間の…ただの息抜き。


｢えぇ。そうですね…っ。本当に…｣


そう思ったら、涙が止まらなくなった。


｢なぜ泣いてーー…｣

｢お話しすることは何もありません、アーカード様…っ｣


私は口早にそう言い放ち、アーカードの手を振り切って廊下を駆けた。


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