第21章 暗青の月 3
しばらく待ったものの、承太郎は一向に水面から顔を出さなかった。
おまけに、船のそばには巨大な渦ができている。
一体、水面下で何が起きているの?
皆はスタンドで承太郎の助太刀をしようとしたが、渦のなかに鋭い鱗が待っていて水にはいることができない。
私も様子を見に行こうと体を引きずって柵へ向かう。
すると突然、体が軽くなった。
「うわっ!!」
立ち上がろうとしていた体が、勢い余って前に傾く。
倒れると思って目を瞑ったが、いつまでたっても衝撃は来なかった。かわりに、暖かい何かが私を支えていた。
「驚かせてしまってすみません。」
聞き覚えのある台詞に顔をあげると、ハイエロファントグリーンが私を支えていた。
花京院もハイエロファントグリーンの隣にいる。
「あなたにも見えるんですね。僕のスタンド、ハイエロファントグリーンが。」
そう言うと、花京院はいたずらっぽく笑った。
たしか、初めて花京院と会ったときも転びそうになったところを助けてもらったんだっけ。
だからって、わざわざ同じ台詞を言わなくてもいいでしょ。
「ありがとう。」
とりあえずお礼を言うと、ハイエロファントは私から離れた。
「ほんと、ハイエロファントには助けられてばかりね。でも花京院、今はふざけたことしてる場合じゃないでしょう?」
片眉を上げて花京院を見るけれど、私の何がおかしかったのか彼はまだ少し笑っている。
「花京院!」
「ふふ、すみません。ジョジョの決着がついたので、安心して気が緩んでるみたいです。」
「承太郎、無事だったのね!」
「ええ、今船に向かって泳いでいますよ。」
良かった。
ホッとしたのも束の間、突然船から爆発音が響いた。
振り替えると、船のあちこちに火が回っている。
「奴め、やはり爆弾を仕掛けていたか!」
私たちは急いで避難用ボートに乗り込み、船から脱出した。