第21章 暗青の月 3
「流されていくぞ。」
承太郎に倒された偽船長は、波に揺られてどんどん船から遠ざかっていった。
けれど、私はそんな偽船長に構っている余裕はなかった。ダークブルームーンから解放されたはずなのに、体の力が全く戻らなかったからだ。
それどころか、スタンドも出せない。
何か嫌な予感がする。
「承太郎!早く引き上げてくれない?」
「そうじゃ、さっさと引っ張りあげてやらんかい。」
声をかけても反応がない。
まさか…。
「ど…どうした、承太郎!?」
私は、バッと顔をあげて承太郎を見た。
承太郎は、私と同じように力が入らない様子で、冷や汗をかいて固まっている。
よく見ると、承太郎の手にはフジツボがびっしりと引っ付いていた。
「ち、ちくしょう。引きずり込まれる!」
フジツボのせいで力が抜け、承太郎はどんどん海の方へ引きずられている。
「やつはまだ戦う気だ!」
海を見ると、いつの間にか偽船長が消えていた。
偽船長は、海で私たちを待っているのだろう。
意地でも私たちを海に落として戦わせる気だ。
「アンナ!君の体にもフジツボ虫がいるぞ!」
「えっ!?」
花京院の声に、はっとして自分の体を見た。
ダークブルームーンに触られたところに、承太郎と同じようにフジツボが引っ付いていた。
「ひぃいい!!」
「うっっ!!」
私が悲鳴をあげたとき、承太郎は堪えきれなくなり私たちは船から落下した。