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【ジョジョ】タロット~剣の暗示を持つもの~

第12章 灰の塔 1



二人はコーヒー、私はカプチーノを注文し椅子に座る。
すぐにウェイターが飲み物を届けてくれた。
私たちは何と言う話をするわけでもなく、それぞれ自分の飲み物に口をつけた。

…気まずい。

私はおしゃべりな人といる時はよく話すだけで、自分から話題を持ちかけるタイプじゃあない。
普段から無口な承太郎と、つい昨日知り合ったばかりの花京院。
会話が弾むどころか、誰も話を振らない。
しかも周りを通りすぎる女性たちが承太郎と花京院を見てキャッキャと騒ぐものだから、承太郎の額には青筋が立っている。
こんな重たい空気、どうしろって言うのよ。
こんなことならおじいちゃんについていくべきだった。
気まずい空気のせいか、カプチーノがいつもよりも苦い気がする。
そんなこと考えていると、気を遣ってか花京院が話し出した。

「知っているか、ジョジョ。コーヒーと言えばヨーロッパのイメージが強いが、実はイスラム圏だったオスマン帝国が起源なんだ。」

「へぇー。じゃあ、エジプトでもコーヒーを飲めるんだね。」

「そうだね。ただ、今でもエジプトではコーヒーが飲まれてはいるが、僕たちが普段飲んでいるコーヒーとは淹れ方が違っていてね。豆と砂糖を水から煮出して作るんだ。煮出したまま提供されるから、飲み終わって底に残った粉の形から占いをしたりするんだよ。」

「そう言えば、アヴドゥルがコーヒー占いをするって言ってたけど、そう言うことだったのね。」

「それにしても花京院、てめーよくそんな事知ってたな。」

「ああ、三ヶ月前家族とエジプト旅行に行く前に興味があって自分で調べたんだ。もともと本が好きなのもあるが、気になることがあるときちんと調べておきたい性格でね。」

「そうか。」

承太郎は再びコーヒーを口にした。その横顔は少し機嫌が良さそうだった。
承太郎自身、気になることは徹底的に調べるタイプだから案外気が合うのかもしれない。

そのあと、私たちは話したり静かになったりを繰り返していたが、その頃にはもう沈黙は気にならなくなっていた。
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