第18章 【明智光秀】雨のち晴れ【R18】
翌朝、すっかり晴れた空には綺麗な白い雲が浮かんでいた。
目を覚ました桜姫はしっかりと褥に寝かされており、隣の部屋からは小さな物音が聞こえている。
昨夜、光秀はどこにも行かなかったらしい。
光秀の愛場が残る身体をゆっくり起こせば、隣の部屋から光秀が顔を覗かせた。
「良く寝たか?」
「はい」
昨夜の激しい睦事がまるでなかったかのような光秀の涼やかな顔に、桜姫は思わず笑みを浮かべてしまう。
「今日、俺はここで仕事をする予定だ。お前は城へ戻るか?」
「ご迷惑でなければ、ここにいてもいいですか?」
「断る理由がないな」
光秀は寝起きの呆けている桜姫に熱い口付けを落とし、書机に戻った。
ひとつ涼やかな風が吹き抜ける。
桜姫は、明るい外を眺めながら幸せを噛み締め、昨日買い付けた反物に手を伸ばすと、光秀の傍で針を持つのであった。