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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第16章 笑顔でいらっしゃいませ 【公安男】


カランとドアベルが鳴り、ドアが開く。反射的顔を向け「いらっしゃいませ」と笑顔で客を迎えた安室透は、ドアの前に立つ人物を視界に入れて笑顔のまま一時停止した。すぐに「お好きな席へどうぞ」と促したので、僅かな時の硬直に気づいたのはその客本人だけだろう。客はさっと店内を見渡した後、自然な動作でカウンター席に座った。
「ご注文はいかがなさいますか?」
「コーヒーとナポリタンで」
「かしこまりました、少々お待ちください」
注文をとり、安室は作業を始める。その様を、客はカウンターに肘をついて眺めていた。
「お待たせしました。ナポリタンとコーヒーです」
やがてほかほかと湯気をたてるナポリタンとコーヒーが彼の前に置かれた。いただきます、と口にしてフォークを手に取る。くるくると器用に拾い上げ、ナポリタンを口に運んだ。そのまま彼は黙々と、時折コーヒーを口にしながら食べ進めていく。皿が空になり、コーヒーの最後の一口を飲み終えた彼は、カップをソーサーへと戻した。カチ、と小さく音が鳴る。ふぅ…と息をついた彼は、突如どんっとカウンターに手をついた。
「もうお前嫁に来いよーーーーー!!!」
「「は!!!??!」」
突然の青年の叫び声に、後ろのテーブル席で楽しく放課後タイムを楽しんでいた女子高生達が勢いよく彼を凝視した。何々どういうこと!?と困惑と動揺であたふたしている。当の言われた本人は、笑顔だが口元を引きつらせている。こんな安室さん見たことない、と女子高生達は動揺を募らせる。
「誤解を生むのでそういうのやめてくれますかねぇ」
(うわ、安室さんが怒ってる…!)
(初めて見た…!)
静かに怒りを見せる安室に女子高生達は震える。だが叫んだ本人は気にせずにこにこと笑うばかりであった。
「お前の料理とコーヒーが美味いから」
「………」
素が出そうになるのを堪えてため息をつく安室。おかわり、と言う青年に、追加のコーヒーを淹れるのであった。











彼の名は千綾朔司。
安室透ーもとい、降谷零の幼馴染にして、警視庁公安部所属の青年である。
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