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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第10章 はじまりの緋色 【安室】


渋谷夏子の容態が急変したとの連絡が入ったのだ。ジョディは顔色をかえ、コナンとキャメルを車に乗せて病院へ急いだ。十華もすぐさまバイクに乗って追う。だがその後に続く安室の車に疑問を覚えた。確かに彼女は彼の依頼人だから、筋は通っているのだが。本当に彼の正体が確実なものになるまでは警戒を解く事はできない。途中の信号の兼ね合いで、十華は到着が遅れた。病院に着いた時には、別ルートを辿って早く着いたのか、安室が立ち去ろうとしたところだった。十華はヘルメットをとりながら目を細めた。十華に気づいた安室もまた、目を細めて彼女を見た。
「…知ってたのね、私がFBIだって」
「えぇ…まぁ、ちょっとしたときに」
ここで初対面だったと思われるジョディやキャメルのことならともかく、十華は何度も会っている相手。しかも安室のアルバイト先で。その相手が実はFBIだったなら、普通はもっと驚くはずだ。
「ねぇ、コナンくんとなんの内緒話をしていたの?」
「別に…僕のあだ名のことですよ」
「ゼロ?」
「…えぇ」
それが、なにか?安室の顔はそう言っていた。これ以上ききだすのは無理か。
「なんでもないわ、ちょっときいてみただけ…」
「そうですか…では」
「安室くん」
「…?」
車に乗り込もうとした安室を、十華は呼び止めた。なぜ呼び止めたのか、本人にも正直よくわかったいなかった。
「何か?」
「あ…いや…」
「…」
「…ごめん、なんでもない」
「…」
その表情から安室は何を読み取ったのか、十華に歩み寄って耳打ちした。
「明日の行動には、お気をつけて」
「…!?」
なにを、そう口にする前に安室は車に乗って行ってしまった。今の言葉は何を意味するのか。十華はその後、すぐにそれを把握する事になる。楠田陸道が車の中で拳銃自殺したことを、やつらに知られてしまったことを、きいて。
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