第10章 Reincarnation 〜織田信長〜
「そんなはずはない!俺は奴に散々言って来た。俺を信じろ、守ってやる、離しはしない…と。なのに結果はどうだ?奴は大量の血を流し、腹の子の命も失い、涙を流しながら俺に謝り続け腕の中で息絶えた。……っ、俺が、殺した様なものだ」
一番守らなければいけなかった、愛おしい者を…
「っ、それでも空良は幸せだったんです。信長様に愛されてとても。だからそんなふうに言わないで下さい。信長様がそんなに自分を責めていては、空良が悲しみます」
「來良 ……」
來良の言葉はまるで空良が言った様に俺の耳に届く。
空良、貴様は幸せであったか?俺は貴様を苦しめただけではなかったか?
「もう一度……言え」
「えっ?」
「空良はまこと、幸せであったかを教えろ」
許されたいわけではない。
空良俺は、貴様の気持ちが知りたい。
目の前の女は愛した女ではない。だが知りたい。
答えが知りたくて、俺は手を伸ばして來良の頬に触れた。
「信長様…」
戸惑った顔の來良と見つめ合ったその時、
「信長様っ!敵襲ですっ!」
部屋の外からの声で、俺たちの張り詰めた空気が破られた。