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第7章 風の強い日


ある風の強い日のこと。

「みな〜!早く早く!」

そう呼んでいるのは叔母の有希子だ。
突然「友達の娘がフランスに行くことになったから、年の近いみなにお相手をお願いしたいの!」と連絡があり、今に至る。

『ねぇ、その子って女優さんなんでしょ?私なんかでいいの?』

「シャロンとそういう話になったの!まぁ彼女は今回来られないみたいだけど、、あ!あの子よきっと!」

友人の少ない娘がフランスに行くこととなり、心配したシャロンが有希子の姪がフランスに住んでいることを思い出し、お目付役として駆り出された、というのが今回の流れらしい。

「はじめまして、クリス…よね?シャロンから聞いてるわ、有希子よ、よろしく!この子は私の姪で、みなと。」

『みなとです、よろしく。』

2人の挨拶に、よろしく、と軽くだけ返事をしたクリスはどこか上の空に感じた。
あとは頼んだ、と有希子が去ってからは静寂に包まれた。

『どこか行きたいところは?』

別に、そう素っ気なく返事だけするとそっぽを向かれてしまった。
初めは人見知りか、無口なのかと思っていたが、根気よく話しかけると次第に色々な話ができるようになった。

彼氏はいるの?
-今はいらない
友達とは普段どんなところに?
-仕事が忙しくてあまり
どうしてフランスに?
-映画の撮影よ
この間の映画観たよ!よかった!
-あら、嬉しいこと言ってくれるわね
私もあんな大人の女性になれるかな
-なれるわよ
クリスってちょっとミステリアスね
-A secret makes a woman woman.
秘密は女を女にする…?
-そう、女性は秘密を着飾って魅力的になるのよ
クリスが言うと説得力がある
-ふふ……貴女もきっといい女になるわ
本当?頑張らなくっちゃ
-ちょっと行きたいところがあるんだけど、付き合ってくれない?
もちろん!
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