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黒か白

第7章 風の強い日


あれからというもの、外では監視されているような感覚に陥り、毎日同じ茶封筒が投函されていた。

「これは運命だ」
「君は僕が守る」
「君が欲しい」
「いつも見てるよ」
「ずっと一緒」
「誰かに言ったら……わかっているよね?」
「これは僕と君だけの秘密」

毎回一言のみの無機質な手紙はみなとの心を着実に蝕んでいった。
新一に相談しようかとも考えたが、自分が相談したことで他の誰かに危害が加わるかもしれない、そう考えるだけで恐ろしくなった。
手紙にはいつも写真が添えられており、それは家の前、学校、買い物中など様々で、常に監視しているぞと言われている気分になった。
毎回ご丁寧にみなと以外の人間の顔はマジックで黒く塗り潰され、ここで誰かと会えばその人に目が向けられてしまう、そう感じざるを得なかった。

ふと外を見ると強く風が吹き乱れていた。
風の強い日、思い出すのは5年前。
まだ大学生でフランスに住んでいた頃の思い出。
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