第6章 不穏
幼馴染との再会から数週間。
用事でポアロを後にしてから会うことはなく、隣の窓に光がが灯ることもなく、家主が帰っていないことを表していた。
探偵業が忙しいのだろうと深くは考えず、新しい職場に慣れるため、仕事に打ち込んでいた。
漸く日本での生活にも慣れた頃、身の周りに異変が起き始めた。
初めは視線。
校内、校外に関わらず、ふとした時に感じる視線。
最初のうちは自意識過剰だと気にしていなかったが、足音なども加わり、気になり始めた頃だった。
いつも通り仕事から帰り、ポストを確認すると一通の茶封筒が入っていた。
表にも裏にも宛名や住所などの記載はない。
開けて中を確認すると一言
「やっと会えたね。」
無機質な字で書かれたそれは手書きではなく、封筒にはその紙1枚。
裏返してみると、校門で生徒に挨拶をしている自分の姿が印刷されていた。
それをみた瞬間、ぞくりと嫌な感覚が走る。
すぐさまスマホを取り出し、「安室」の文字をタップした。
「お掛けになった電話は電波の……」
電源を切っているのか繋がらず、一先ずは夕飯の支度をと思ったが食欲も出ず、明日の仕事に備えて寝ることにした。