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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第8章 恩人





「君の恋人ラウリィ・ダーウェルの遺品だ」


その言葉を聞いた瞬間、私は我を失ったように箱に飛びつき
箱の中身を確認した。

中には私がラウリィにあげた物で溢れていて
「これ・・・最期まで使ってくれていたんだ」と
嬉しさと哀しさで涙が溢れる。


「あははっ、このペン私が初めてお給料貰った時に
彼にプレゼントしたものなんです。便箋だってなかなか
会えないから手紙を頂戴って強請って無理やり押し付けたもので、
このハンカチはタオルとセットだったものだし、
香水は調査兵団にいると汗まみれで体臭が気になるから
選んでくれって言われて選んだもので・・・もう、中身が
入ってないのに瓶取っておいてくれたんだぁ~・・・」


こんな事エルヴィンさんに語ってもどうしようも無いのに
口が止まらなくて涙で前も見えない。

エルヴィンさんは以前のように優しく背中を撫でてくれて、
またハンカチを貸してくれた。

暫くそうしていると「この小箱を開けてご覧?」という
エルヴィンさんの言葉で少し顔を上げ、首を傾げる。

その小箱を自分がプレゼントした覚えはなかったが、
エルヴィンさんに誘導されるように開くと中には
2つの指輪が入っていた。


「きっと君にあげるはずだった結婚指輪だ」


エルヴィンさんの静かな声が私の脳髄に響き、
また涙が溢れ出てくる。

これ以上泣きたくないのに、私は嗚咽を止めることが
出来なかった。


「君が20歳になったら結婚しよう」と言ってくれた言葉は
嘘ではなかった。ラウリィは私を最期まで愛してくれていた
のだと思わせてくれた。

こんな幸せな事は無い。


「エルヴィンさん、ありがとう・・・ございますっ!」


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