ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】
第17章 覗き見
「知ってる?この男、本当は推理小説なんか
興味なかったんだよ!?貴女を利用する為だけに
近づいた最低野郎なんだ!確かに調査兵団の為
だったんだけど、一人の人間、男としては最低、
女の敵なんだよ!挙げ句、貴女の実家だって
潰しちゃったんだから!」
シーンとその場が静まり返った。
そういう事情が初耳だった方が多かったらしく
「えぇ!?」と皆さんは驚いているようだったが、
私は全部わかっていたので、つい
「はい、そうですね」と呑気に答えてしまった。
「全部知っていますよ。エルヴィンさんが私を
利用する目的で近づいてきて定期的にお会い
していたのも、あの手この手で情報を引き出そうと
していたのも私の実家を潰して下さったのも
全部知っています。舞踏会では女性のお相手をして
資金を援助してもらっているのも知っていますし、
腹黒い事もよく存じています」
うっかり暴露すると、ハンジさんは目を丸くして
「知ってて何でそんな酷い男に引っ掛かっちゃったの?」
と心配されてしまった。
「分隊長、これ以上死に急がないでください!」
モブリットさんというらしい調査兵がハンジさんの口を
塞いだ。
酷い男といえばそうなのかもしれない。
でも酷いだけの男性だったならここまで
惚れたりしないと思う。
私が何と説明しようか考え倦ねていると、
今まで黙っていた4人の調査兵が挙手をした。