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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第2章 中学生編


轟SIDE

席替えで雪水と席が離れた。
それ自体には特に何も思うことはなかったが、その日から雪水と話すことが減った気がする。
いや、実際殆ど話さなくなっていた。
元々あまり自分から人に話しかけるタイプではないし、 わざわざ足を運んで話しかける程の用事はなかった。
最初の頃はそれ程気にはならなかったが、日を追うごとにまた自分の中にあのよくわからない感情があることに気付いた。

(あの時は確か、雪水の髪に触れたら治った)

なら、もう一度そうすれば治るのだろうか?
いや、何故だか今回のはそうじゃない気がしてならない。
またしても答えの出ない疑問が俺の思考を蝕んでいく。

(なんなんだ、一体…)

そんな事を考えながら、俺は廊下を歩いてた。
移動教室の時に忘れ物をしてしまい、それに気付いたのが放課後でそれを取りに行っていたのだ。
周りの生徒は殆ど帰ってしまっていて、教室に残っている生徒なんて殆どいなかった。
ふと、教室に誰か残っている姿を見つける。

(雪水…?)

微動だにしないことを不思議に思い近づいてみると椅子に座って壁側にもたれて寝ていた。
机の上には本が広げられてる。

(読書しながら寝落ちたのか)

こんな近くで雪水の姿を見ることが酷く懐かしく感じていた。
無防備に眠るその姿がとてもあどけなくて、また幼い日の姿とダブらせているのだろうか。
暫くの間見つめていたが、あの違和感の答えが見つかる気がして、そっと雪水の髪に触れてみる。

(やっぱり何か違ぇ…)

少し心が満たされたような感じはしたが、まだ何か足りない。
一つ一つ確認するようにゆっくり撫でながら、手を頬へと移動させる。
一向に起きる気配のない雪水を見ていると、何故だか起きて欲しいと思っている自分がいた。
固く閉じられた瞳に自分を映して欲しい。
笑顔を見せて欲しい。
その口から俺の名前を呼んで欲しい。
そんなことを考えていたからか、俺は無意識のうちに雪水の唇に指を滑らせその感触を確かめると次の瞬間には自分のそれを重ねていた。
どれくらいそうしていたのかわからないが、少なくとも数秒はたっていた気がする。
そうしてゆっくりと離れると、目を見開いて顔を真っ赤にした雪水の顔が目に入った。



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