第10章 原作編《入寮〜圧縮訓練》
紫沫SIDE
いつにも増して執拗に絡みついてくる舌に私の判断力は鈍らされ。
じりじりと押し倒されていたのか、背中が畳に当たる感覚がした。
口内へと注ぎ込まれた焦凍君の唾液が重力に従って喉の奥へと流れ込んで。
放される頃にはどちらのものかわからなくなった唾液が口の端から垂れていた。
それを焦凍君の舌がゆっくりと舐め上げていく。
「さっき以上にその顔は誰にも見せられねぇな」
見下ろしてくる少し細められたオッドアイに見惚れて、既にその言葉の意味を理解しようとすら思えないのに。
さっきの行為のせいで身体が熱を帯び始めていることに。
それが何を意味するのかは考えなくてもわかった。
「焦凍君…」
まだ数える程しかないけれど。
触れ合う心地良さをちゃんと覚えてるから。
「どうした?」
「焦凍君にもっと…触れて欲しい…」
火照った身体はそれを求めずにはいられなかった。
「ああ」
再び寄せられた唇は優しくも深く絡まり合い。
腰に手が添えられ、探るようにして背中に潜り込んでくると。
いとも容易く下着のホックが外された。
そのままその手は肌の上を滑っていき、胸の膨らみをやんわりと包み込んだ。
「んっ…ぅ…」
離れていく唇は次に首元へと寄せられ。
いつもよりも強くそこに吸い付いて。
「俺のものってシルシだ」
耳元で低く囁かれる声に身体の熱がまた上がった気がする。
そのシルシは一つだけではダメみたいで。
胸にあった手が下着ごと服を捲り上げると。
至る所にシルシを刻み込んでいくから。
どこにあるのかなんて最早定かじゃなくなっている。
その間にも手は再び胸の膨らみを包み込んで。
さっきは触れることのなかった突起を焦凍君の指が弄ぶ。
「っぁ、ん…ひぁ…ァッ」
シルシをつけ終えた口が突起を咥えて。
二つの異なる刺激に身体がビクビクと跳ねる。
愛撫されているのは上半身だけなのに。
下腹部が疼き始め、下着を湿らせている。
わかったところでどうすることも出来ないまま。
私の口から溢れる嬌声が徐々に音を上げていたことには気付けなくて。
「紫沫、声抑えろ。隣に聞こえちまう」
胸の愛撫が止んだのと同時にかけられた言葉に咄嗟に口元を自身の手で覆った。
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