第9章 原作編《神野事件》
紫沫SIDE
初めて見たソレは予想以上に存在感を示して控えめに言っても気持ちのいいものではなかった。
その衝撃に一瞬動きが止まってしまう。
「やめるか?」
頭の上から焦凍君の優しい声が聞こえてくる。
私から言い出したことなのに目の前にしてやめるなんて。
そんなことしたくなかった。
見慣れないから、知らないから。
初めてのことには緊張と躊躇いが生まれるもの。
無言で首を横に振って、意を決して。
恐る恐る手を伸ばした。
何だか少し熱を持っている気がする。
どう触れるのが正解なのかわからなくて、両手で包み込むようにして手の中に収めて。
少ない知識を頼りに手を上下に動かしてみる。
比べるものなどないのだけれど、目の前にあるソレに抱いたのは…
「…おっきぃ…」
自然とそんな言葉が口をついて出てきていた。
徐々に触れていることにも慣れてきて次に抱いたのはその感触で。
(固いけど、柔らかい)
そうしてすっかり触れていることに集中していた時。
「っ紫沫」
少し切な気な声がして。
なんとなくの知識としてしか知らないけれど、手だけじゃなくて口を使って触れるということがあるのを思い出した。
「ぁ、これだけじゃダメだよね」
「ッ!!」
最初は唇で、触れるだけの口付けをして。
次に少しだけ舌を出してソレに這わせる。
最初は勇気が必要で掠る程度にしか出来ないけど、這わせていく内にそれはちゃんとした行為に変わっていた。
下から上へと何度も時折角度を変えたりして、今私にできる最大限の奉仕を。
そんな風にして夢中になっていった私は、流れのままにソレを口の中へと咥え込んだ。
「…あむ、ん」
「ッッ…」
やっぱり大きくて、先端だけでも口の中でその存在感を主張してくる。
それでもゆっくりと喉奥に当たるぎりぎりまで。
「ん…ンゥ」
何とか収めたけれど、口内いっぱいを占めているのは正直少し辛い。
そんな時に再び聞こえてきたのは。
「っ口ん中、熱ィ」
その言葉に何故か下腹部が疼いて、もっと焦凍君に気持ちよくなってほしいという気持ちが生まれた。
だから手と同じように口も上下に動かしてみるけど。
手よりも慣れないその動きにゆっくりとしか動けないでいると。
「っ、紫沫…手、使えるか…?」
「ン…っんん」
同時に二つのことを求められてしまった。
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