第9章 原作編《神野事件》
紫沫SIDE
あれから私は夕飯の準備を始めて、焦凍君は広げたままの問題集を見つけると自分もすると夏休みの宿題をしていた。
今日の夜ご飯は夏にピッタリの冷やし中華だ。
夜ご飯とお風呂を済ませると今度は2人で宿題をして、日付が変わる前には就寝するべく。
当然のように2人で1つのベッドに身を沈め、背後から抱き締められて。
既に馴染みつつある温もりに包まれて瞳を閉じかけた時。
「…紫沫」
名前を呼ばれ首裏に寄せられた柔らかな感触。
「っ焦凍君?」
「2日も一人にしちまってわりィ…」
この距離でなければ聞き逃してしまいそうな声音の後、抱き締める腕に力がこもった。
「大丈夫だよ?今日だって寝てただけだし」
敢えて軽い感じで応えると。
「寂しくなかったか?」
再び首裏へと触れてくる唇。
けれど今度は一度だけでなく何度も。
小さく啄ばみながら肩根へと移動していき、そこに強く吸い付かれてから舐め取られ。
その行為に私の身体は何かを期待して小さく反応を示していた。
「んっ…焦凍君が、来てくれるってわかってるから」
「…そうか」
焦凍君の手が服の中へと潜り込んできて胸を優しく包んだ。
ゆっくり感触を味わうように動く手に気持ち良さを感じて声が漏れ出す。
ふいに指先が突起を弾いたことでビクンと身体が跳ねて。
「ひぁ…っ」
「紫沫の身体はどこも感じやすいな」
まるで内緒話をするみたいに耳元で心地の良い低音が響いて。
その声にすら身体は反応をしめして、下腹部が疼き始めているのを感じた。
「すげぇ、可愛い」
胸の突起を攻められながら耳元で囁く声にいつにも増して身体の熱が上がっていくのを感じる。
暫くして胸を弄る手はゆっくりと素肌の上を滑りながら腰の辺りにまで降りて。
その手がズボンの中へと差し掛かったところで私は生理であることを思い出した。
「だめっ!」
「…嫌か?」
「ち、違っ…そうじゃなくて…」
異性に対してその事を口にするのは少し躊躇ってしまうけど、理由もないまま抵抗しているわけではないと伝えなくては。
「あのね、その…生理が、きたから…」
「せいり…?…ああ、あの月一くるっつうやつか」
「そう。だからね、今日…というか一週間はダメなの」
「一週間…」
その声はとても小さくて、とても悲しそうに聞こえた気がした。
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