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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第8章 原作編《林間合宿》


紫沫SIDE


「…それ、無意識か?」
「ん?」
「もっと触れたくなっちまうだろ」

無意識とは一体なんのことなのか。
それに既に触れているし、先にしてきたのは焦凍君なのに。
そんなことを考えていたから、隙が出来ていたんだと思う。
頬に伸ばされた手で少し引っ張られたことで距離が縮まる。
次の瞬間、不意打ちで口付けをされた。
後ろの方では相変わらず騒がしくしているのに、何故か音が遠くに聞こえる。
通路を挟んで相澤先生がいるのに目の前は焦凍君でいっぱいで何も見えない。
すぐに放されたけど、クラスの皆がいるところで、不意打ちで口付けなんて、しかも二回目だ。

「だから、あんま可愛いことすんじゃねぇぞ」
「っ!!!」

事後忠告じゃ遅い。
そう文句を言ってやりたかったのに上手く声を出せない。
せめてもの抵抗で顔を逸らすと、肩に何かが乗ってきた感覚がした。
身に覚えがある感覚にそちらへと視線を戻せばそこにはあるのは紅白頭。

「着くまで仮眠とる」

そう言ってあっという間に夢の中へと行ってしまった。
寄りかかられたことで身動きが取れなくなってしまう。
そう言えば入学してすぐにも同じことがあった。
学内をバスで移動することになって、空いてる席が焦凍君の隣しかなくて。
あの時は隣に行くのを躊躇っていたな。
あれからたった三ヶ月なのに色んなことがあって、今では焦凍君の隣にいることが当たり前になっている。
チラリと視線だけを動かせば中学からずっと見てきた紅白頭。
サラサラの髪の毛はとても触り心地が良さそうで、触れてみたいと思った。
寝ているから気付かれないだろうし少しだけならいいかなと、そこへ手を伸ばしかけたその時。

「やべェ…俺見ちまった!」
「ここは見てないフリだ!!」

後ろからそんな声が聞こえてきて、咄嗟に手を引っ込めた。
確か座っていたのは切島君と上鳴君だった筈。
さっきのことを見られていたのだと知って、改めて恥ずかしくなった私は焦凍君と同じように仮眠をして知らないフリをすることにしたのだった。


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