第1章 始業式の日
帰り道。
まだ心臓がバクバクして、収まりそうにない。
とてつもなく急接近したわけでもなければ、抱きしめられたわけでも手を繋いだわけでもない。
でも、学校に行くこと自体が久しぶりな私は、そんな恋のイベントを経験したことがなく、とてもドキドキして変に意識してしまった。
伊野尾先生に、本当に申し訳ないことをしてしまったし迷惑をかけてしまった。
明日絶対にちゃんと謝りたいから、明日も朝からちゃんと学校に行こう。
この高校で初めて仲良くなれた先生だ。
絶対に手放したくはない。
始業式。
私は、今年からこの高校に赴任してきた先生と、多少の事故はあったものの、ある程度は仲良くなれた。
この調子で、クラスの子とも仲良くなっていきたいと思った、帰り道だった。