第12章 Regalo【アバッキオ】
気に入らねえ。
何がって、アイツのあの態度だ。
オレは部屋の隅を睨みつけた。
───正確には、そこでひそひそと話をしているチヒロとミスタをだ。
ここ数日、どうもチヒロの様子がおかしかった。
いつもキビキビ、テキパキと動いているのに、最近はテーブルに肘をついてぼうっとしていたり、眉間にしわを寄せて考え込んでいるのを何度も見かけた。
体調でも悪いのか、と聞けば、問題ないと返ってくる。
それなら別に放っておいてもいいんだが、明らかに普段と違うコイツをそのままにしておくというのも寝覚めが悪い。
だから、何かあったのかと聞いてやった。
チヒロは何でも1人で抱え込むクセがある。
面倒くせえが、仕方がねえから相談に乗ってやってもいいと思った。
だが当の本人は慌ててオレから視線を逸らすと、曖昧な笑みを浮かべてそそくさと立ち去ってしまった。
「本当に何でもないのよ」…だと?
どう見てもそうじゃあねえから聞いてんだ。
………まあ、ここまではまだいい。
問題はその後だ。