蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第240章 追憶のキミ 3
はぁ……
お城って凄ぇな……
約400年前の技術でだよ?
天守の壁のさ*漆喰(しっくい)、どうやってこれ塗ったんだ? とか
戦国時代真っ只中に作られた、本丸等の建物の装飾は豪華だしさ
**破風(はふ)屋根に、***花頭窓(かとうまど)とかさ
智「ホント、何回見ても新しい発見があるよね? お城には」
中学卒業して直ぐ、左官の親方の元で、修行を始めたオイラ
このお城に魅せられて、休みの日は通ってるオイラ
(お城、大好きなんだ……)
不思議なんだよ。この城見た瞬間、何か別の力が働いて、引き寄せられたみたいな感覚があって
何なんだろう? って
今、オイラ
公園内で。趣味の絵を描いてて。ふと大きな桜の木の当たりに視線を移すと……
一人の青年…… イヤ、少年が桜の木の下、桜の木を仰ぎ見ているのが見えたんだけど……
智「見えないな……」
オイラ、目があまり良くなくて見えなくて…… もっと近くに……
今のご時世。オイラの行動。人にもし見咎められたら
ヤバいんだけどさ…… 目が離せなくなっちゃって
智「泣いてる?」
さすがにね? 至近距離までは行けなくて。当然涙なんて見えないんだよ
なんだけど
表情がさ。泣いている様に感じて
その瞬間
-ヒュルリ-
ぇ?
風がヒュルリと泣いて
ふゎっと、桜の木を揺らして花びらが、舞った瞬間……
(うわっ)
付近だけで無く、公園内全体に吹き渡る様な、風が舞った瞬間……
何だか分からない…… 感覚的ものなんだ……
説明の出来無い様々な感情が
流れ込んで来たんだ……
《イマガソノトキ》
今がその時?
何だ? 今の……