第1章 愛でる宣言
全く、どいつもこいつもさえりに甘過ぎる。
恋仲宣言をした直後だというのに、皆がさえりを囲み、からかいつつ祝福している。さえりはその中心で花を咲かせたような笑顔を見せていた。
自分の女が皆に囲まれ幸せそうに笑う姿は悪くない。が、同時にもやもやした感情も湧く。
だから。
さえりの手を引き立ち上がらせる。
「では、軍議も終わった事だし、俺はこれからさえりをじっくりと愛でるとしよう。行くぞ」
そのままさえりと共に広間から去っていった。さえりの顔は真っ赤になっていた。
二人が去った広間は水を打ったように静まりかえっていた。
「なあ、あれは本当に光秀か?」
暫くして、やっとの事で秀吉が、呆然としながらも言葉を発する。
「まあ、周りを驚かせるという点では光秀さんで間違いなさそうですけどね……」
家康がため息混じりに言う。
「あいつ、もしかして嫉妬したのか?」
「えぇ!?」
政宗の言葉に皆驚く。
あの光秀が?
だが先程の行動はそう考えると納得できた。
「さえりは底が知れんな」
信長が呟く。
なんだかんだで、さえりは安土最強なんじゃないか――そんな思いさえ抱かせる。
「でも、お二人とも幸せそうでしたね」
三成の言葉に、全員が頷いたのだった。