第1章 ✼千日紅✼
──上杉謙信。
戦国時代最強の武将の一人と言われ、戦狂いの軍神と恐れられた。
女嫌いとして知られていた謙信だが、生涯に一人だけ正室を作り、側室は持たなかったという。
今となっては女嫌いと共に愛妻家としても有名になっている。
妻の名を「結」と言い、出身などが不明な謎多き姫。
乱世で生き抜く確かな強さを持ち、とても美しい女性だったと数々の武将が公言しているらしい。
だが、その二人はなんと敵同士だった。
織田信長が寵愛していると噂が立っていた結を謙信は人質として捕え、牢獄の中で恋が始まったのだ。
過去の辛い記憶から女を遠ざけようとする謙信と、それに真っすぐに向かっていく結。
二人は恋仲となってからも、数々の試練を乗り越えてきた。
歪んだ愛はやがて、美しい愛へと姿を変えたという。
そして、その最期は────