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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第7章 ✼月見草✼



謙信様と恋仲になる前
刀を突きつけられそうになったこともあった
私を人質として捕らえたこともあった

それでも、謙信様が私に直接傷を負わせたことなんて無かった。
女に興味はないと言いながらも私を守ってくれた。
だけど……今の謙信様は出会ったころに戻っただけじゃない。


──どこかの姫か?権力のため俺の正室になる事を望んでいるのか?


そんな事、言って欲しくなかった。
どれだけ拒絶されようとも、その瞳に私が写っていなくても……私の想いを疑う事だけはして欲しくなかったのに。


(謙信様は記憶が無いの。しょうがなかった)


そう自分に言い聞かせる。


──何故お前を見ると胸が詰まる?何故触れたいと思ってしまう?何故……!


今思えば、あの言葉は私の事を少しでも意識してくれていたのだろうか。

冷静になった今なら考えられるけど、あの時の私にあったのは

胸の痛み
体の痛み

痛み

痛み

痛み


痛かった。全部が、痛かった。















── 怖い









あろう事か、自分からそばにいたいと願った最愛の人を怖いと思ってしまった。

これ以上嫌われたくない。

信玄様が来なかったらどうなっていたんだろう。

もっと傷が増えていたのだろうか。

私がそばにいたら苦しむ?
いいえ……今は私がそばに居たくない。


そう思ってしまったから。


「私……ここに来て安心した……もう傷つかないで済むって思ってしまった。謙信様から逃げた」


「でもこの傷はあいつが……」


「それでも!謙信様のそばに居るって決めたのは私自身だったよ……!」


自分でも気付かぬうちに
少しずつ、少しずつ壊れかけていた私の心は


「最低……最低だ……」


とうとうボロボロになって、崩れてしまった。
今は、優しく抱きしめてくれる家康の腕が一番安心した。






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