第6章 三度の飯より
side翔
そう言ってスタスタと自分の席に戻って行く。
やっぱ怒ってんじゃん。
何に?でも俺、特に怒らせるようなことしてないよな?
意味わかんねぇ...
本当に元気がないわけじゃないんだけど、
『隅野さんのこと、そんなに好きだったの?』
さっきの質問が頭の中でまた流れる。
...わかんねぇよ。
考えてみれば、俺はちゃんと人を好きになった事がないかもしれない。
告白されて、
純粋に嬉しかったら付き合って、
合わないなって思って振ったり、
振られたり、
それがいつものパターンだ。
隅野さんからも、告白されて純粋に嬉しかった。
可愛くて、優しくて、俺の事思ってくれて、
でもだからって、ちゃんと好きだったのかと聞かれるとよくわからない。
俺って、最低だ。
隅野さんにあんな顔させて、
ちゃんと思ってやれなくて、
あんなにいい子だったのに。
振られた時だって、
俺の事大好きだって言ってくれて、
なのに俺は何も言えなくて、
本当、最低だ。