第4章 オレンジ色の
side翔
沈黙が続く。
何を言われたのかを理解するのにだいぶ時間が掛かった。
翔「え?」
やっと出た声がこれだった。
隅「私ね、
櫻井君のこと、
大好きだよ。
でも、私じゃダメみたいだから。」
窓から射し込む西日に隅野さんの目がキラリと光る。
隅「白石さんと、ちゃんと上手くいってよね!
じゃないと、私...。
櫻井君は無自覚みたいだけど、
白石さんのこと、大好きでしょ?」
何も言えなかった。
「深雪のこと好きでしょ?」だなんて今までにだって何度も言われたことがある。
けど、まともに耳を傾けたことなんて一度もなかった気がする。
深雪のことが好き...?
心がザワつく。
深雪は仲のいい幼馴染みで...、それで...、
隅「今すぐにはわからないかもしれないけど、
多分、
絶対、
そうだと思うから...。」
何も応えない俺の事を察して声を掛けてくれる。
隅「最後に、1つだけ、私のわがまま、聞いて欲しいの。」
翔「...何?」
隅「私に、思い出、くれない?」