第5章 せせらぎのキモチ
胸を刺すような。
甘く苦しいほどの鼓動の高鳴り。
緊張に似た痺れ。
硬直する身体。
グイッ。
(―――え?)
ふいに後ろから、誰かに抱き寄せられた。
それと同時に堀川と私の視線を遮るかのように、私の瞳を手で覆われる。
それはまるで優しく閉じ込められるような感覚で。
加州「・・・・ちょっと近づきすぎでしょ、」
息がかかるほど近くで、加州の声がした。
加州「・・・堀川にどんな因縁があるから知らないけどさぁ」
加州「うちの主を口説くのはダメだから」
さらっとした口調だったけど、でも確実に怒りを含んでいた。
「か、かしゅ・・ッ」
状況を見たくて慌てて加州の手をどけようとすると、それを察した加州が手を離すと同時に、私に向かってにっこりと微笑んで見せた。
加州「・・そーれーとー。主は随分と俺たちに隠し事をしていたみたいだしーー?」
「かっ隠し事って・・!!」
なんかすっごく悪いことしてるみたいな言い方じゃない!?
浮気がバレた旦那みたいな心境になるじゃないかっ!
加州「・・・話してくれるんでしょ、皆にも」
加州が振り向いた先に、皆が心配そうにこちらを見つめていた。
状況が分からないまま不安げな者。
何かを察して様子を眺めている者。
ただ真っ直ぐに見つめる者。
自分のことに必死になって、周りの状況が見えてなかった。
(・・・皆を不安にさせるつもりはなんて、私はダメな主だな)
「・・・うん。皆にもしっかり話さなきゃね」
私のこと。
そしてこの本丸が何を目指すか。
主としてどんな時でも。
私が彼らを導かなければいけない。
それが主としての私の責任・・!!
~つづく~