第1章 現実に生きる君へ
「うるせぇ!このクソデク、ぶっ殺すぞ!」
今日も俺は怒鳴り散らす。これが俺の通常運転だ。
周りはいつも呆れた顔で俺を見ている。
「まぁまぁ、爆豪、落ち着けって」
「うるせぇ!クソ髪!」
「そりゃダチに酷いぜ、爆豪」
「テメェは黙って死んでろ!」
切島が呆れたような感じで小さく笑う。
「おい、これから授業が始まるからとっとと座れ」
気だるそうに相澤先生が言った。
俺は後ろに居るデクを睨み付けた。デクはビクッと体を震わせた。
「次の授業はヒーロー基礎学だ」
俺はその言葉を聞いて、胸を高鳴らせる。
俺は一位なってやる。
俺はトップヒーローになるんだ。
架空な個性を持つ人間達が集うこの世界は俺にとって当たり前だと思っていた。
これが俺が生きている現実だと思っていた。
いつも通りに強く生きて行けば、トップヒーローになれると思っていた。
現実は想像とは全く違う異世界だったと、
この俺はまだ知らない。