第7章 少年と虎
倒れこんできた気を失っていている敦を太宰は押し返した。
「男を抱き合う趣味はない」
床につく寸前でユウリが支えた。
「流石にそれは酷くない?」
すると入り口から呼ばれた。
「おい、太宰、ユウリ」
国木田が駆けてきた。
「ああ、遅かったね。虎は捕まえたよ」
正体を見た国木田は驚いた顔をした。
「その小僧………」
かくかくしかじか
「じゃあそいつが」
「うん、虎の能力だ。変身している間の記憶がなかったんだね」
「全く、次からは事前に説明しろ、肝が冷えたぞ」
国木田は太宰から貰った紙を見せた。
紙にはこう書いてあった。
『十五番街の西倉庫に虎が出る。逃げられぬように周囲を固めろ』
「おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ」
すると数人倉庫に入ってきた。
「なンだ怪我人はなしかい?つまんないねェ」
与謝野晶子
能力名『君死給勿』
「はっはっはっ。中々できるようになったじゃないか太宰、ユウリ。まあ僕には及ばないけどね!」
江戸川乱歩
能力名『超推理』
「でも、その人どうするんです?自覚はなかったわけでしょ?」
宮沢賢治
能力名『雨ニモマケズ』
「どうする?太宰、ユウリ。一応区の災害指定猛獣だぞ」
国木田独歩
能力名『独歩吟客』
「うふふ、実はもう決めてある」
太宰治
能力名『人間失格』
「うちの社員にする」
夏目ユウリ
能力名『絡繰り人形』『夢十夜』
「はあああああ!?」
これが事の始まり
怪奇ひしめくこの街で変人揃いの探偵社でこれより始まる怪奇譚
これが先触れ前兆し
中島敦
能力名『月下獣』