第2章 桜色の約束
ー裕太視点ー
舞台挨拶の翌日、俺はオフをもらっていた。
そう、約束を果たす為に………
俺は朝から落ち着かなかった。
は覚えているだろうか………
ただ10年後とだけの約束。
時間を指定したわけじゃない。
だけどならわかってくれる筈
オレンジ色に染まる街の、あの桜の木の下で…………
俺はドキドキしながら、約束の場所へと向かった。
桜に近づくにつれ、誰かが桜の下に佇んでいるのが見えた。
栗色の長い髪の女性。
春の風が、桜の花びらと共に彼女を包み込んでいた。
その光景があまりにも綺麗だったから、俺は思わず息をのんだ。
ふと時計を見る彼女。
その時見えた横顔
間違えるわけがない
ずっと想っていた人