上手な生き方【ONE PIECE・ロロノア・ゾロ】
第3章 行き場のない船旅
「す...凄い」
ガツガツと手元にあるどんぶりの中に入ったラーメンをズルズル啜って口を拭くと目の前のメガネの男の子が息を飲むように、そう呟いた
私の座るテーブルの上には、私の分だけでないとは言え、軽く五人前を越える量の空になった皿やどんぶり茶碗が積み上がっている
「一体、その体のどこにそんな沢山のご飯が入っていくんですか...!?」
「どこって、この腹ン中ですけど」
「いや、そういうことじゃなくて...」
はぇぇ...、と情けない声を上げる男の子に訝しげな目を向けて、ポンとお腹を一つ撫でる
人より丈夫に出来たこの体は、大量に食事をしさえすれば長期間の漂流での傷など無かったように回復していった
その体の様子をキラキラした目で見つめる視線が一つ
「すっげーな!お前。さっきまで傷だらけだったのにメシ食ったらもうピンピンしてんだもんな!」
不思議人間!と私を指差してはケタケタ笑う青年
麦わら帽子に赤いチョッキらしきもの、デニムの半パンにラフなサンダルといった、田舎村の少年といった感じの出で立ちの彼は、それはそれは愉快そうに笑う
この異常な回復力におもしれー!と笑ったのは、彼が初めてだ
銃で撃っても、すこしばかりすれば回復する私を見て大体の人間はギョッとしたり、恐れ戦いたり、驚いて逃げ出したりする
そんな感じで、どこか彼には牽かれるところがあった
何か、人徳のような...そんな感じ
そんなことを考えながらラーメンの残り汁をグイッと啜った
「もうお腹一杯...二人とも、助けてくれてありがとう。何とお礼を言ったらいいか分からないけれど、兎に角感謝してる_そうだ、名前を聞いて無かった」
満腹になった腹を抑えながら向かいに座る二人に向き直る
「俺はモンキー・D・ルフィ、海賊王になる男だ!よろしくなー」
「僕はコビーです」
「そっか、ルフィとコビー...助けてくれて本当にありがとう、改めてよろしく」
二人の前に両手を差し出せば、ルフィはニッと笑って、コビーは照れ笑いしながら私の手をしっかり握った