上手な生き方【ONE PIECE・ロロノア・ゾロ】
第4章 鬼の住処にいる蛙
「近くで見るとごっついなー!!」
「ここが...海軍基地」
4.鬼の住処にいる蛙
どーん、という効果音でも出てきそうな程に聳え立つのは立派な要塞、"海軍基地"
たしか、ここへ来る前のレストランでは、モーガン大佐という人がここいらの指揮権を握っているらしい、という話をコビーがしていた
町を守っているはずの大佐の名前を聞いただけで仰け反って逃げ隠れる客の姿は異様だったけれど_
"海賊狩りのゾロ"という男を自分の海賊団の仲間にしたいというルフィは、そんなことも気にせず、ずんずんと塀の方へと近づいていく
「コビーは海軍に入りたいんでしょ?行かなくていいの?」
「え!あ...はぁ、でもまだ正直心の準備が出来てなくて...さっきの一件がありますし」
俯き気味にため息を溢すコビーになるほど、と納得する
「だよね_実は私、政府から追われる身なんだ...だからこの件もなるべく穏便に済ませたい」
その言葉にギョッとするコビー
詳しくは言えないけど、と人差し指を口にあてて、シィーッ、と言うとコビーは刻々と頷く
「なんか居るぞ!向こうに!」
いつの間に塀によじ登ったのか、降りてきたルフィが興奮気味に塀に沿って走っていく
「覗いて見えるような所には居ませんよ。きっと奥の独房とか」
「それが居るんだって!ゾロってやつかも!」
ルフィの後を追って塀へ一つジャンプして捕まると、言うとおり、誰かが張り付けにされている
体は傷ついているけれど、その鋭い眼光はギラギラと光を失うことがない
深い緑の腹巻きに頭に巻いた黒い手拭い
その奥の瞳が私たちを睨み付けていた
コビーが言うに、その特徴は間違いなくロロノア・ゾロだという
簡単にほどけそうな、その拘束を外して逃がせそう、だなんてルフィが言えば、コビーは町が襲われたり、私たちが殺される心配をしてくる
そんな心配を他所に、塀の向こうから声が飛んで来た
腰に響くような、重低音
「おい、お前。ちょっとこっち来てこの縄、ほどいてくれねぇか。もう九日間もこのままだ、さすがにくたばりそうだぜ」
「九日間か...私だったら野垂れ死んでるな」
「おい、あいつ笑ってるぞ」
しゃべった...!と騒ぎ立てるコビーを他所に、私とルフィは張り付けの青年をじっ、と見つめた